稲森紀子は、1956年東京に生まれました。5人の子どもを持つ母親で、主婦として普通に暮らしていました。しかし、2007年頃から、歩行時にふらつくようになり、その後、徐々に症状は進行し、2009年にはひとりで立ち上がることもできなくなりました。医師からは「多系統委縮症のひとつ、線条体黒質変性症です」と告げられました。線条体黒質変性症はパーキンソン病に似ていますが、パーキンソン病よりも進行が速く、やがては死にいたる難病です。

自らの病のことを知ったとき、こんな自分であっても残された時間の中で、何かお役に立てることはないかと考え、若い頃から親しんでいた演劇や歌を通して、世の中のためになるような活動ができたらと思い、2010年にアマチュア劇団を立ち上げました。

最初は数人の仲間だけで始めましたが、3年ほどで100人を超える仲間が集まりました。活動ジャンルも演劇・音楽だけでなく、ダンス・絵画・太鼓と広がっていきました。稲森自身、いよいよ世界に向けて発信しようとしていた矢先、2013年8月にこの世を去ることになりました。彼女の思いは「稲森アートプロジェクトグループ」のメンバーが引き継ぎ、今後も世界中で愛と平和を訴えていきます。